冬になると、お子さんの調子が悪くなっていませんか?
私は公立小学校で28年間、養護教諭(保健室の先生)をしてきました。
保健室でも、冬になると調子を崩す子どもたちを多く見てきました。
冬は寒いですし、布団から出にくいというのは当然あります。
また学級では人間関係が深まったゆえに起こる、様々なトラブルや出来事も起きてきます。
ですので繊細でもともと学校がしんどいお子さんは、冬になると不登校の傾向が強まるということは理解できます。
ただ、そういう理由以外にも「ホルモンの関係」で冬になると調子が悪くなるお子さんがいらっしゃいます。
その経験から、冬に調子が悪くなる理由と、無理なくできる対処法をお伝えします。
冬に調子が悪くなる理由:セロトニン不足 ホルモンの影響
ホルモンの影響
冬になると日照時間が減るため、ホルモンの分泌に影響が出ます。
人間の体は、外の環境に応じて色々なきっかけで調節しています。太陽の日照時間によって調節されているホルモンに、セロトニンやメラトニンというホルモンがあります。
- セロトニンは「気力」「ストレス解消」
- メラトニンは「睡眠」
に関係のあるホルモンです。
冬に日照時間が減るとそれに伴って分泌量が減るのです。
そうなるとやる気とか集中力とか睡眠の状態などに影響が出てくるわけです。
セロトニンの仕組み
太陽の光によって体内のセロトニン(気力・ストレス解消をつかさどるホルモン)が活性化されます。
日中はしっかり目覚めて活動ができる。
その15時間後、活性化されたセロトニンがメラトニン(入眠に関するホルモン)に代わります。
メラトニンの働きで眠くなり、スムーズに入眠できる。
太陽の光がきっかけになり、覚醒と眠りが自然な形で行われるのです。
人の体の精密さにはいつも感心させられます。
日本人は不足しやすい
実は日本人は、セロトニンが不足しやすい体質の人の方が多いそうです。
私自身も、冬は気分が晴れないことがあります。
なんと先日、大学生の息子が
「なんか心がさみしいというか、特に心配事はないけど心配な感じがする」
と言ってきました。
冬になるとなんとなく気分がすっきりしないで、睡眠状態が乱れたり、人に会いたくないという方は結構おられます。
私も自分なりに色々気をつけるようにしていますが、最終的にはそんなものと割り切って無理をしないようにしています。
冬季うつ(ウインターブルー)とは
この状態が酷くなり、生活に支障が出てくるものを「冬季うつ(ウインターブルー)」と言います。
ただそこまで行かなくても、冬になると:
- なんとなく気分がすっきりしない
- 睡眠状態が乱れる
- 人に会いたくない
- やる気が出ない
- 集中できない
という方は結構おられます。
不登校のお子さんと冬
もし不登校のお子さんで、特に冬になると調子が悪い場合は、そのような視点で見ていただくと良いかもしれません。
そういうお子さんの場合は、頑張れと言っても身体が言うことをきかないのです。
お子さんに体調を聞いてあげてください。そして無理なく生活に取り入れていきましょう。
冬を元気に過ごすポイント
セロトニン・メラトニンを増やす方法を3つお伝えします。
1. 太陽にあたることを意識する
午前中に太陽の光を直接15分から30分浴びる。
セロトニンはためておけないので、毎日継続することが大切です。
具体的な方法
- 外での活動を増やす
- 窓辺に座るようにする
- カーテンを開ける
- 散歩に出る
太陽の光の強さ
- 晴れの日:50,000〜100,000ルクス
- 曇りの日:10,000ルクス
- ガラス越し:光の強さは弱まる(網戸は問題なし)
- 一般的な家庭用の蛍光灯:500〜1,000ルクス
病院で行っている冬季うつの治療としての光療法は、毎日、早朝2〜3時間、1,500ルクスから5,000ルクスを浴びる治療です。
2. ウオーキングなど有酸素運動をする
セロトニン、メラトニンの分泌を促します。
無理のない範囲で:
散歩
ウォーキング
軽いジョギング
ラジオ体操
3. セロトニン・メラトニンの材料になるトリプトファンを食べる
トリプトファンを含む食べ物
- 豆腐・納豆・味噌・しょうゆなどの大豆製品
- チーズ・牛乳・ヨーグルトなどの乳製品
- 米などの穀類
- ごま・ピーナッツ・卵・バナナ
普段の食事に無理なく取り入れられるものばかりです。
大切なこと:無理なく取り入れる
ただ、しんどいお子さんに何も説明せず急に:
- 「歩け」とか
- 「バナナを食べろ」
- 「カーテンを全開にしなさい」
何て言うとこれがストレスになります。
特に不登校のときには、日中は外に行きたくないし、もしかしたらカーテンは閉めておきたいと考えているかもしれません。
お子さんにお話しして、理解してもらってから、生活の中に無理なく取り入れてみてください。
おすすめの言葉
「冬にこのようなことが起こりやすいのだけど、最近調子悪そうだけどどう?」
NGな言葉
「気持ちがたるんでるからです。寒さなんか吹き飛ばしなさい」
冬眠の名残
ある学者さんは、この一連の体の反応は「冬眠の名残」と説明されています。そう考えると面白いですね。
個人的には、冬眠には魅力を感じます。
とはいえ、冬眠できるわけはなく...。何とかうまく付き合っていくしかありません。
元養護教諭として伝えたいこと
保健室にいますと冬になると調子を崩す子どもたちが増え、保健室の来室が増えます。
それは感染症の影響が大きいのですが、その中には、ホルモンの影響を受けている子もいたかと思います。
大きな視点で見ると、例えば農耕をしていた時だと冬はゆるりと室内での作業だったのではないでしょうか?
本当は季節によって体調に合わせて過ごせばいいのですが、今の学校や社会のシステムにはそれは組み入れられていません。
人間がシステムに合わせている。
お子さんが「頑張れない」のは、気持ちの問題ではなく、体が言うことをきかないだけかもしれません。
「冬はそういうもの」と割り切って、ゆるりとお子さんとの時間を過ごしていただけたらなあと思うのです。
まとめ
冬に調子が悪くなる理由と対処法をお伝えしました。
- 冬は日照時間が減り、セロトニン不足になる
- セロトニンは気力・ストレス解消に関係
- 冬季うつ(ウインターブルー)に注意
- 対処法:太陽の光・運動・食事
- お子さんに説明して、無理なく取り入れる
- 「冬はそういうもの」と割り切る
