子どもにとっていいことを追求できる大人~私利私欲を捨てる~
2022年4月10日
千葉ロッテの佐々木朗希投手が、完全試合を達成しました。
28年ぶりだそうです。
それ以外にも新記録を出していて、今話題になっています。
私は佐々木朗希投手のこの活躍には、子どもを指導する大人の正しい思いが込められています。
2019年
最速162km/hの球速を誇る大船渡高校のエースとして
佐々木朗希投手は、岩手県大会を勝ち進んでいました。
しかし、これを勝てば甲子園出場という準決勝で、監督は佐々木選手を試合に出場させなかったのです。
その試合は、ほかのピッチャーが投げたのですが、負けてしまい大船渡高校は甲子園に出場できませんでした。
甲子園出場のかかった大事な試合
佐々木君が出れば、勝てただろう。
なぜ監督は佐々木くんを出さなかったのか。
当時、監督さんがこう語っています。
「投げられる状態ではあったかもしれないが私が判断した。(理由は)故障を防ぐためです」
それまでの4試合で、計435球を投げていたため。
佐々木君の肩の酷使によるケガを心配しての監督の判断でした。
野球や甲子園に全く興味のない私にとってこの話は普通の話です。
子どもの体はまだ出来あがっていないですし、酷使することで痛めてしまうと、子どもの将来にかかわるのです。
高校野球は教育の範囲ですので、当たり前のことです。
しかしこの監督に批判が殺到しました。
あるテレビでは、元野球選手のコメンテーターが
- 「絶対に投げさせるべき」
- 「監督と佐々木君のチームじゃないから。」
- 「ケガを怖がったんじゃスポーツ辞めたほうがいい」
と大批判。
高校には監督の批判の電話などが250件も来たそうです。
さて佐々木くんは、2019年ロッテに入るわけですが
実はそこから1年は試合デビューせず、身体づくりなどを優先されています。
ここでも監督とコーチが、佐々木君の体を気遣い
2年目からゆっくりデビューし
3年目の今回のこの活躍となるのです。
ロッテの監督・コーチはもちろんですが、高校の監督さん喜んでおられるでしょう。
当時の心境は想像するに、きっと本当は決勝戦に出場させたかったでしょう。
監督もおっしゃっているように、投げられなかったわけではなかったのですから。
高校の監督は、甲子園で優勝に導けば大きな名誉を手に入れます。
もっと大きなチームの監督に引き抜かれることもあるかもしれません。
また、甲子園出場となれば親の会や、後援会や色々な人が動きます。
きっと大きな期待を背負われていたでしょう。
プレッシャーもあったでしょう。
でも監督は、佐々木くんの将来を優先しました。
そしてロッテの監督やコーチも同じです。
こちらはプロの世界ですので大きなお金が絡んでいます。
早く結果を出せと、会社からのプレッシャーはあったかもしれません。
ファンからの要望もあったでしょう。
そんな中、高校の監督。
そして、ロッテの監督、コーチは教育者・指導者として、佐々木くんのためを貫かれたのです。
今の教育界・スポーツ界は、大人の都合や私利私欲が渦巻いていています。
失望することが多い世の中。
今回のこの出来事に、子どもを指導する大人は学ばないといけない。
今回、佐々木君は大きな偉業を若くして成し遂げた。
これはすごいこと。
でも本当は“指導者・教育者”が
- お子さんの一人一人の体の様子
- 心の様子
をよく見て
そのお子さんのペースで、そのお子さんの今必要なことをしていけば
自然とこのように素晴らしい結果が出るのではないのでしょうか?
ただここで間違えてはいけないのが
- 記録を出すことや
- 賞を取ること
だけが素晴らしいわけではありません。
ここでもまた、子どもの望んだ形を優先することを考えましょう。
大人が思う素晴らしい結果が、子どもの望む素晴らしい結果とは限りません。
とにかく子どもに育てる立場の大人は「子どものため」だけを追求する。
どんな花が咲くかは、お子さん次第。
大人は咲いた花をただただ愛でる。
これが教育の本質。
久しぶりに清々しい気持ちになるニュースです。