お子さんから
「学校に行きたくない」
と言われて、どうしたらいいか分からず悩んでいませんか?
私は公立小学校で28年間、養護教諭(保健室の先生)をしてきました。
保健室で、不登校の子どもたちと数多く向き合い、親御さんの相談を受けてきました。
その経験から、不登校の子どもへの接し方、親ができること、学校との連携まで、7つのステップでお伝えします。
【ステップ1】「学校に行きたくない」と言われたら|親が最初にとるべき行動
お子さんから「学校に行きたくない」と打ち明けられたとき、親としてこうした言葉が反射的に出てしまうのは、本当に自然なことです。
- 「なんで」
- 「そんなこと許さない」
- 「もうちょっとがんばって」
「うん、わかった」とすぐに受け止められる親御さんに、私は今のところ出会ったことがありません。
あなたが「そうは言っても」と思ってしまうのは自然なこと
多くの親が
「学校は行くべきところ」
「みんな行っている」
「将来どうなるの!」
「休むのはダメ」
と思ってしまうのは自然なことです。
私たちの世代が「学校=将来への責任」と考えるのは、社会がそう教えてきたから。
真剣に子どもの未来を案じているからこそ、この価値観をすぐに手放すことは難しいのです。
しかし、親御さんだけが正論を叫び続けても、物事は進みません。
お子さんは「誰もわかってくれない」と感じ、深い悲しみと孤独の中で耐えています。
最初の一歩:お子さんを決して一人ぼっちにしない
まず大切なのは、「お子さんを一人ぼっちにしない」ことです。
(ずっと一緒にいよう、という意味ではありません。心理的に寄り添う、ということです。)
絶望の淵にいるお子さんに、どうか駆け寄ってください。将来どうなるか、という話はいったん置いておきましょう。
まずは「心の声」を聞いてあげてください。
主語はお子さん。「何があったか」と「どう感じたか」を聞く
「学校に行きたくない」──そのとき、お子さんの心は何を感じているのでしょうか?
学校で何があるのか?教室の雰囲気は?先生や友だちとの関係は?
「何が起きたか」も大切ですが、「どう感じたか」に耳を傾けてください。
お子さんの話を聞くことは、時に親自身の心を揺さぶります。
自分の価値観や過去の痛みに触れることもあるでしょう。
「そうは言っても…」
「先生はどう言ってる?」
「それはこうすべき」
そんな言葉が浮かんできたら、一旦封印してください。
主語はお子さんです。
○○(お子さんの名前)はこう思った。
○○はこう感じた。
そのペースで、じっくりと聞いてあげてください。
お子さんを中心に、話を「聞き切る」ことが大切です。
あなたがここまで読んでくださったこと。
それ自体が、すでに「お子さんの気持ちを理解したい」という一歩だと思います。
不登校は"止まっている時間"ではありません。
親も子も、少しずつ"理解"という形で前に進んでいるのです。
【ステップ2】データで知る不登校の現状|学校のシステムは今の子どもに追いついていない
ステップ1では、お子さんの話を聞いていただきました。いかがでしたか?
- 納得できないこともあったかもしれません
- そんな些細な事を気にしていたら生きていけないと思われた方もいるかもしれません
- そうか。それは大変だねと思われた方もいたかもしれません
今はそれはそのまま置いておいてください。答えはまだ出ないと思います。
不登校は年々増え続けている
「不登校」とは文部科学省の定義では、1年間に30日以上欠席すること(ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く)を言います。
今、日本の小中学生の不登校は何人いると思われますか?
令和6年度の文部科学省のデータによると、小・中学校の不登校の数は35万人です。不登校の数は12年連続で増え続けています。特にコロナ禍以降の増え方はすさまじい。
学校のシステムに不具合がある
いま不登校がこんなに増えているから安心してください、ということではもちろんありません。
でもこんなにたくさんいて、特にこの10年は増え続けているということは、やはり今の学校のシステムに何か不具合があるということです。
それはご理解いただきたいです。
日本全体の「しんどさ」
ではそれは学校だけなのでしょうか?
- 日本では、引きこもりの人は200万人以上ともいわれています
- 日本は自殺大国ともいわれています
- 世界幸福度ランキングで日本は世界56位です
私は、今進んでいる道は間違っていると思っています。
みんなで立ち止まり、何を大切にするか考えませんか。
【ステップ3】不登校経験者の声から学ぶ|「不登校から始まる新しい物語」
不登校についての理解を深めることは、親にとっても大切な一歩です。
実際に不登校を経験した方の声を聞いたり、本を読んだり、YouTubeなどで当事者の話に触れたりすると、「不登校=悪いこと」という固定観念が少しずつほどけていきます。
不登校を経験した著名人たち
不登校を経験した方は、実は多くの分野で活躍しています。
歌手のあいみょんさん、俳優の小栗旬さん、実業家の家入一真さん、タレントの指原莉乃さん、中川翔子さん、そしてミュージシャンの星野源さん。
スポーツ選手や芸術家、研究者など、さまざまな道で「学校に行けなかった時期があった」経験を持つ人たちがいます。
理由もそれぞれです。学校に合わなかった人、いじめで苦しんだ人、自分でも理由がわからないまま行けなくなった人もいます。
でも共通しているのは、皆さんが今、立派な大人として社会で活躍しているということです。
不登校を責めるのではなく、見つめなおすとき
社会の中には、残念ながら「不登校は甘えだ」という心ない言葉もあります。
しかし本当に議論すべきは、不登校の子どもたちではなく、「学校や大人社会が、どれだけ子どもたちの心に寄り添えているか」ということではないでしょうか
タレントのあのさんが語る、不登校の前進
タレントのあのさんは、中学時代にいじめが原因で不登校を経験されました。
別室登校をしていたとき、唯一会いに来てくれたのは美術の先生。
その体験を、彼女は今も忘れず語っています。
「不登校は止まっているように見えるけど、違う世界に進んでる」
「前に進んでる。だから焦らなくていい」
いじめた側の生徒は学校に通っているのに、最も苦しんでいる子どもが学校から遠ざかってしまう。
その現実に、私たち大人こそが目を向ける必要があります。
止まっているようで、進んでいる時間
学校という道ではなく、今は違う道を通っているだけ。行き先は同じです。
「幸せな大人」へと向かう道を、一緒に見守っていきましょう。
参考:不登校を経験した著名人一覧
音楽・芸能 あいみょん/蒼井翔太/生駒里奈/伊集院光/岩橋玄樹/大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)/指原莉乃/白石麻衣/佐々木希/中川翔子/深瀬慧(SEKAI NO OWARI)/星野源/藤田ニコル/あの/ゆうたろう/よしあき/マツコ・デラックス
俳優・演出家 小栗旬/堤真一/西田敏行/宮本亜門
お笑い・バラエティ 川島明/千原ジュニア/徳井義実/なだぎ武/品川祐/山田ルイ53世/キンタロー。
スポーツ 安藤美姫/長友佑都/砂間敬太
実業・社会活動 家入一真/小幡和輝/高田康太郎/山本紘彰(高校生バリスタ・起業家)/石井志昂(不登校新聞代表理事)
文学・研究・文化 金原ひとみ/棚園正一/南方熊楠/トーマス・エジソン
どの方も、自分のペースで歩き、自分らしい形で輝いています。
【ステップ4】コップの水の法則|原因ときっかけの違いを理解する
お子さんは学校に行かない理由について何か語られましたか?もし語られたなら、親御さんはその言葉に対して何かしらの対応が必要です。
ここで知っておいていただきたいことがあります。不登校の「原因」と「きっかけ」の違いです。これをよく理解していないと、結果的に子どもさんの言葉に振り回されてしまうことになります。
コップの水の法則:原因ときっかけ
不登校をコップの水で説明します。
コップには水がたまっていた(原因)
お子さん自身も自覚がない、言葉で話せない、気づかないうちに溜まったストレスや生きづらさです。
ずいぶん時間がかかってたまったものかもしれません。
+
そこに水のしずくが入ったことにより(きっかけ)
いじめ、先生の心ない一言、定期テスト、クラス替えなど、単発で最近起きた出来事であることが多いのです。見つけやすく、対応しやすいものです。
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水があふれる(不登校など)
「きっかけの解決」だけでは根本解決しない
親御さんが最も戸惑い、疲弊するのはこの部分です。
お子さんが
「あれがイヤ」
「これがしんどい」
と言ったので、親御さんが学校などに働きかけ、
「きっかけ」となる出来事を何とか解決したとします。
「せっかく解決したのに、なぜ子どもはまだ動かないのだろう!?」
これは、「原因」となるコップの多量の水が残っているからです。
きっかけを解決しても、根本的な「しんどさ」が残っていれば、またすぐに別の水のしずく(些細な出来事)で、コップは溢れてしまいます。
解決への道筋:焦らず「一緒に探る」こと
それでも、「きっかけ」を放っておくことはできません。
なぜなら、きっかけへの対応こそが、お子さんの「心のシャッター」を開く最初のステップだからです。
まず、きっかけとなる出来事について、お子さんと一緒に
「あーでもない、こーでもない」
と話し合い、対応しましょう。
この原因探しはじわじわと進めることです。
無理やり聞き出したり、子どもさんの意思に反して話を進めると、お子さんは心を閉ざし、コップのふたを閉めてしまいます。
「相談しないほうがよかった」
「余計にしんどくなった」
こうならないようにお子さんの意思をしっかりと確認して進めましょう。
(実は問題解決よりもこちらの方が優先されます。)
この「一緒に対応する」プロセスの中で、親子の信頼関係が築かれ、原因(コップの水)を探る土台ができていきます。
この土台のもとで、親は子どものコップの水を減らすことができます。子どもは安心して前に進めるのです。
【ステップ5】親自身の心のケア|「毒親」不安との向き合い方
不登校のお子さんの親御さんの多くが、ご自身を深く責めていらっしゃいます。
「私が毒親だから」
「私の育て方が悪かったから」
「小さい時にああしたから、不登校になったのかもしれない」
こうした考えは、親御さん自身の心を深く傷つけ、お子さんのサポートに必要なエネルギーを奪ってしまいます。
あなたは本当に「毒親」なのか?
今、ご自身を責めている親御さんに問いかけます。あなたは、本当に「毒親」なのでしょうか?
下の「毒親口ぐせリスト」を見て、
「今もよく言っている。そしてこれからも続けるし、やめられない」
という方は、専門的なカウンセリングなどを受けることを強くお勧めします。
しかし、
「昔は言ってしまったかもしれないが、今はしていない。これからは気をつけたい」
という方は、毒親ではありません。
完璧な人間はいません
生きていくのに精一杯で、余裕がない時もあります。もしかしたら「毒親だった瞬間」があったかもしれない。
でも大切なのは
「今から」
「これから」
です。
過去を悔やむのではなく、今日から毒親口ぐせをやめましょう。
お子さんの心を癒す『薬親(くすりおや)』を目指しましょう。
不登校の原因は「学校」のフィット感の欠如にある
そもそも「不登校」は、
「不」+「登校」であり、学校のことが問題なのです。
家庭のことについて、何も言及していません。
私は、不登校は「学校の支援や環境が、その子どもさんにフィットしていない」ことで起きていると考えます。
そして、学校とお子さんの間に「フィット感」を取り戻すためには、親御さんの力が不可欠です。
親御さんは、学校という社会で疲弊したお子さんの「避難所」であり、唯一の心の安全基地なのです。
毒親だと、お子さんの心の支援は難しくなってしまうかもしれません。
もしあなたが本当に毒親だと感じているなら、早急に何か手立てをしましょう。それが、お子さんのため、そしてあなた自身のためです。
毒親口ぐせリスト(今すぐやめたい言葉)
「××してはダメ」「××しなさい」
「志望校は××にしなさい」「××(職業)になりなさい」
「この会社はダメ」「この子と遊んではだめ」
「フー」ため息で子どもをコントロールする
「チェッ」聞こえるように舌打ち
「好きに選んでもいい」と言って選んだものに難癖
「あんたはいつもダメだ」「産まなきゃよかった」
「あんたはうちの子じゃない」
「あんたのせいでお父さん(お母さん)と別れられない」
「あんたなんかいらん」
「姉は賢いのに、あなたは・・!」「きっと失敗するわ」「失敗しても知らんで」
「あなたのために言ってる、こうしなさい」
「何をやってもダメね」「どうしてできないの」
「普通はこんなことしない」「うちの家系ではない」
「学校に行かないなんて将来どうするの?」
「普通は学校に行くものです。信じられない」
「学校に行っていないなんて、恥ずかしい」
早急に親御さんの心の改善を
不登校のお子さんには、親御さんの心の支援が必須です。
「毒親の口ぐせ」が残っている状態では、お子さんの心を癒し、サポートすることは難しいでしょう。
そして何よりあなたの心が心配ですよ。
生きづらさ感じておられませんか。
良ければお話聴かせてくださいね。
【ステップ6】学校・先生との連携の心得
不登校は病名でも障害名でもなく、「学校を行っていない」という状態を表しているだけなのです。
不登校の原因を安易に、親や、家だと決めつける人がいます。
が、それはおかしな話で行かないのは「学校」です。
今は学校のことを話しているのです。
みんなが自分の範囲でできることをする必要があります。
誰かのせいにしてしまうと子どもの心を見失ってしまいます。
感情的にならず、冷静に情報交換をしていきましょう。
まずは担任の先生から
まずは、担任から。
後々には
- 関わってもらっている先生
- 管理職
- スクールカウンセラー
色々な先生とお話しされてください。
学校の先生に何をどう聞くか:チェックポイント
話を聞かれる時も
「先生のいうことだから正しいに違いない」とか
「先生だからわかっているはず」
と言ったような先入観は持たないで、ただ何をどう言われるかを聞いてください。
- クラスの様子
- お子さんのクラスでの様子
- 友人関係
- 休み時間の様子
- 授業中の様子
- 先生の考え、思い当たること
- トラブル
- 得意、不得意
- エピソード
など。
その中で先生自身の不登校への考えも知りたいところです。
それから
- 他に不登校のお子さんはいるか?
- 学校ではどのような支援があるか?
- 市町村など地域ではどのような支援があるか?
も聞いておくといいですね。先生とはできれば友好関係を保ちたいところです。
大切なこと:先生は「不登校のプロ」ではない
ただ一つ、親御さんに理解しておいて欲しいことは、学校の先生は不登校のお子さんへの関わりは、プロではないということです。
先生たちは、教室で、学校で子どもと関わることのプロです。そちらの分野では、心血を注いで頑張ってこられた方ばかり。
そして先生になる方は、割に子どもの頃から、学校教育に適合してきた方が多いのです。不登校のお子さんのことは、むしろ、わからないという先生もいます。
でも、先生は基本的には子どもの理解や対応については訓練を受けています。
なので、すぐに強い味方になってくれます。
ただ人の気持ちのわからない先生もいます。
保身を大事にする先生もいます。
関わることで親御さんやお子さんをさらに傷つける先生もいますので、そこの見極めは、親御さんが慎重に。
【ステップ7】経済や合理化の"ものさし"を子どもに渡さない
今社会は、経済を最優先しています。
人の心より、お金、コスト、合理化が最優先。
そして、そのための「評価」。
評価は、人のこころを疲弊させます。
日本の「しんどさ」を示すデータ
- ひきこもりの方は、15歳〜64歳で約146万人に上ります(内閣府調査より)
- 自殺者は年間2万人前後で推移し、特に若年層の深刻化が続いています
- うつ病など気分障害の患者数は120万人を超え、増加傾向にあります
そして、学校も同じ構造の中にあります。
小・中学校の不登校のお子さんは、最新の調査で約35万人と過去最多を更新しました。また、先生方の精神疾患による休職も年々増え続けています。
評価と競争が優先される子どもたちの現実
子どもたちは社会や学校から、
「もっと、はやく」
「ひとより、きちんと」
「ちゃんと、多く」
という無言のプレッシャーを常に浴びています。
さらに、学校では
「みんな仲良く」
「個性を大切に」
と言われながら、その裏側では常に評価にさらされています。
本当に自分を大切にする時間はあるでしょうか?
評価のもとで、本当の意味で友達と心から仲良くできるでしょうか?
評価と競争が優先される環境の中で、子どもたちの心は疲弊し続けています。
経済と合理化の『ものさし』を手放すとどうなるか?
でも、もし、ここで経済と合理化という『ものさし』を手放すとどうでしょうか?
綺麗事を言うなと言われます。どうやって食べていくんだ。
はい。私たちは、経済優先と合理化の社会で頑張りましょう。
しかし、子どもたちにまで、その『ものさし』は渡さなくてもいいのではないでしょうか?
「効率よく」
「無駄なく」
「人と比べて」
「早く結果を出す」
こうした価値観ではない、子ども、人の心を大切にした価値観です。
不登校は子どもからの大切な問いかけ
私たちは不登校を「停滞」と捉えがちです。
しかし、この時期を私は
「子どもからの、人生で一番大切なものは何か」
というメッセージとして受け止めています。
子どもが立ち止まって示しているのは、
「今やっていることの先に、本当に大切なものはないよ」
という警鐘ではないでしょうか。
このメッセージを正面から受け取ることが、親子にとって最も意味のある時間になります。
不登校は、親と子が一緒に新しい"学び方"を見つけるための時間
お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、私たちはどう答えればいいのか?
この7つのステップが、少しでもあなたの助けになれば幸いです。
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一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。 |
