HSC(ひといちばい敏感な子)|子どもへの接し方と親ができること【元養護教諭28年が解説・奈良】

お子さんが

「音に敏感」

「服装にこだわる」

「給食が食べられない」

と悩んでいませんか?

 

私は公立小学校で28年間、養護教諭(保健室の先生)をしてきました。

保健室で、HSC(ひといちばい敏感な子)の子どもたちと数多く向き合ってきました。

 

 

その経験から、HSCの子どもへの接し方、学校生活での具体的な対応、親ができることをお伝えします。

 

HSCとは?「気にしすぎ」「わがまま」ではありません

HSC(Highly Sensitive Child)は、簡単にいえば繊細な人で環境について高い感受性を持つ子どものことです。

 

最近やっと社会で認識されるようになりました。有名人がカミングアウトしてその概念が広まりました。

 

HSCは病名・障害ではありません

これまでも子どもの支援をしていれば、その程度は様々ですが、お子さんの敏感さに触れることは日常的にありました。

ですが、昭和の人(私が勝手に名付けています。私も昭和の人なのですが)の中には、繊細なお子さんを

 

「過敏すぎる」

「気にしすぎ」

「わがまま」

など否定的にとらえ、叱ったり、逆に割れ物に触れるように気を使いすぎたりと、関わり方が難しいようです。傷つけてしまったお子さんもあったでしょう。

 

 

ただ確かにその繊細さは、内容や程度は人によって様々でマニュアルのようなものはありません。関わる方に繊細な感性が必要です。

 

HSCの子どもへの基本的な接し方

HSCのお子さんと関わる時のポイントは、

「慣れさそう」

「強制してでも」

としないことが基本です。

 

私が繊細なお子さんと関わった経験からですが、お子さん自身が

「適応しようと思えば」

お子さん自身が納得して適応されます。

 

お子さんが、納得の上で適応する方が、一番自然で無理がないのです。

 

無理強いは逆効果

音が過敏なお子さんが学校がうるさすぎて不登校になったからと言って、無理に耳栓をつけても続かないのです。

 

結局次は、「耳栓が痛い」となります。

 

でも、お子さん自身が

「学校に行きたい。そのためにどうしたらいいか?」

と、考えて自分から適応するための方法を探し出したら、ここで大人は、色々な手段をお伝えください。

 

結局は「耳栓をつける」ということになることもありますが、そうなれば子どもさんは耳栓を、すんなり受け入れます。

 

 

お子さんの「選ぶ」という過程が必要です。

 

【実例1】聴覚過敏|音楽の授業がつらい子への対応

聴覚・視覚・触覚・嗅覚などの感覚が非常に優れていて、ほかの人では気づかないことまで感じる。

それによって感情が大きく反応する。

そのため集団生活がしんどくなり、不登校になるというのはよくあります。

 

聴覚の優れているHSCさんの親御さんとの会話から

学校の先生からHSCだといわれました。

どうしたらいいのでしょうか?

 HSCは病名、障害ではありませんので、先生に言われたからと言って、HSCだからどうしなければならないということは、ありません。ただお子さんが困っていることには、対応していきましょう。

 

学校に行きたくないと言っています。

特に音楽の授業がしんどいようです。

 お子さんの場合はまず「聴覚」ですね。小さいころからでしょうか?

 

昔から大きな音が苦手でした。

かなり軽減されてはいます。

それでも音楽の授業は、音が強くて泣きたくなるといっています。

まずはお子さんが、“音楽の時間に参加したいと思っているかどうか”がポイントです。

参加したい気持ちがあるなら、耳栓、ヘッドフォン、または席の工夫などできることを考えていきましょう。

参加できないぐらい苦しいなら、音楽の時間は、別室で勉強するなど一旦、お子さんの気持ちを受け入れましょう。

それから徐々に良い方法を探っていきましょう。

 

参加したい気持ちがあるなら:

  • 耳栓、ヘッドフォン
  • 席の工夫(廊下側など)
  • いつでも退席できるシステム

 

などできることを考えていきましょう。

参加できないぐらい苦しいなら:

音楽の時間は、別室で勉強するなど一旦、お子さんの気持ちを受け入れましょう。

それから徐々に良い方法を探っていきましょう。

 

「慣れさせる」は有効?

大きな音を毎日聞けば慣れますか?

少しずつ慣れていくことは有効なのですが、それにはお子さんが

「大きな音に慣れたいから取り組もう」

という意思が必要です。

何事も、前向きな意思がないとうまくいきません。

 

きちんとお子さんの意思を確認して、お子さんが選択していく形で進めます。

 

 

【実例2】服装のこだわり|制服を嫌がる子への対応

HSCのお子さんで、服装にこだわるケースもよくあります。

  • 生地の肌触り
  • 縫い目
  • タグ

などが気になり、

  • いつも同じ服
  • 冬でも半袖半パン
  • ゆるゆるの服装

 

といったお子さんが、いらっしゃいます。

周りの反応が問題になることも

寒い日に半袖、半ズボンだと、日に何度も「寒くないの?」なんて声をかけられたり。

クラスメイトも、時には馬鹿にしたような声かけをしたりして、トラブルの原因になったりします。(服ないの?など)

 

 

ある親御さんの話では、ネグレクトの疑いまではいかなくても「家庭に何か問題があるのか?」「きちんと着せればいいのに」なんて陰口が聞こえてくることもあるそうです。

制服がない場合の対応

お子さん自身はこのままで特に問題はありません。

私自身も下着は綿でゆるゆる、ヨレヨレのものが一番好きです。

新しいものはピリッとする感覚があるので苦手です。

 

夏でもズボン下をきていて、肌に触れるところに着ているものは、全てゆるゆるヨレヨレです。

ポイントは「周りにどう理解してもらうのか」です。

 

子どもさんが

「寒くないの?」

なんて言われてもスルーできるなら、いつのまにか

「この子はそんな感じ」

と周りが理解していく。そして多様性を認めていく。

理想的な道筋での解決ですね。

 

 

 

少し不安があるなら

「こう聞かれたらこう答える」

といったような練習をしておくといいです。

制服がある場合の対応

まず状況を調べてください。

今は、制服を標準服と位置付け「行事の時だけ着る」という学校もあります。これではないとダメと言った流れは、はっきりいって古い。

しかし今話題になっている『ブラック校則』を調べてみると、下着の色まで決めている学校があるようで、話し合いすら難しい学校もあります。

そしてここまでの情報をもとに、お子さんに問いかけてください。

私の経験した中では、ここまでくれば半ば諦め、仕方なくではありますが、納得して制服を受け入れるお子さんがほとんどでした。

 

それでもお子さんが受け入れてくれないなら、「その制服のどこがどう嫌なのか」を明らかにして学校と交渉しなければなりません。これは、管理職の先生との話し合いになります。

私の息子の場合

うちの息子でいえば、服を買う時は「柔らかいやつ」とオーダーする子どもでしたが、制服は中学入学と同時にすんなり着ました。(ただ採寸の時、大きめで作ってくださいとお願いしました。)

ただ学校が終わって帰ってきたら、靴下まで全部、玄関をはいってすぐにところに脱いでいます。

そしてシャツとパンツ一丁になり、ほっと一息といった感じです。

 

 

今は、大学生。

好きな服を楽しんできています。

だけど家に帰ってきてすることは、ジーンズをまず脱ぐことです。

【実例3】給食問題|食べられないものがある子への対応

HSCの「食」について時々ご相談いただきます。

 

野菜を全く食べない

野菜の食感が辛すぎる

嫌いな野菜を無理に食べると必ず吐く

 

など。

 

家庭での工夫

野菜を食べないと、健康面では心配ですし、またうんこがびっくりするほど臭い。

でもやはり無理強いは良くない。

野菜ジュースやスープなどで、工夫したりして乗り切るしかないです。

 

お子さんに野菜の何が嫌か?

 

  • 食感
  • におい

を聞く中で、ヒントがあります。

 

給食では早めに担任へ相談を

ただ給食ではそうはいきません。

もしお子さんにHSCの傾向があって、給食で苦しい思いをされているなら、まず担任の先生にご相談なさってください。

日々の給食については、担任裁量の部分が大きいですので、配慮できることがほとんどです。

結果、特別な配慮がないにしても、何も申し出ないで放っておくと

 

  • 「好き嫌いが多い」
  • 「わがまま」

 

なんて担任が感じて、意外にきつく当たられてしまうこともあります。

また

「一口でいいから食べなさい」

なんて毎日うるさく先生に言われてしまうかもしれません。

給食が不登校の原因になるというのは結構あります。

早めにお伝えになってください。

医師の診断書が有効

 

またHSCのためで

「ただの好き嫌いではない」

と、親御さんが思われるなら、お医者さんに相談されることをお勧めします。

 

 

私は食物アレルギーの対応も、学校で長くしていました。

実は学校で受け取る食物アレルギーの診断書の中には

食べるとなんらかの症状が出るが、血液検査ではアレルギーの反応が出ない方でも、食物アレルギーとして診断されているものもあります。

  • 食べると喉がイガイガする
  • アレルギー物質を食べると嘔吐する

というのは、食物アレルギーの症状ですので

HSCさんの

  • 野菜が食べられない
  • 食感が嫌
  • 食べたら吐く

なんていうと、症状でいえばアレルギーと変わらないのです。

かかりつけ医とよくお話しいただいて、診断書やまたは口頭でも

  • 「その日の体調もあるがアレルギーの疑いあり」
  • 「経過観察中、無理に食べない」

といった指示が出れば、お子さんは学校でずいぶん楽になります。

 

 

実際、親御さんから

「好き嫌いが多い」

とお知らせいただいていた子どもさんで、高学年になってから、アレルギーが判明したというお子さんもあります。

 

 

アレルギーの分野は、まだ未知のことがたくさんあります。ですので、お医者さんに相談してみると、良い方法を教えてくださるかもしれません。

私の失敗談:息子とりんごの話

 

 

私の失敗談ですが、長男の話です。

感覚が敏感な子どもでしたので、歯医者をとても嫌がりました。

「じゃあ虫歯予防に"フッ素"だけでも」

と子どもを説得して、半ば無理矢理歯医者に連れていきました。

 

「フッ素塗布は、痛みはないので大丈夫だろう。」

と考えたのです。さらに子どもの大好きなリンゴ味のフッ素です。

結果は、なんと・・・

 

子どもはその日から、りんごが食べられなくなってしまいました。

 

りんごを食べようとすると、歯医者の感覚が蘇って来るそうです。

 

今20歳ですが、この10年食べていません。失敗したなぁと、反省しています。

ただ最近歯が痛むらしく、歯医者について情報を集めているようです。

 

最近は、痛みを最小限にゆっくりと治療する方針の歯医者も増えてきていますね。

本人が納得して、治療に向かってくれることを祈るばかりです。

 

子どものためのことであっても、

「本当にそれが子どものためになるのか?」

よく考えなければならない。

と思った出来事でした。

 

HSC支援のフローチャート

HSCさんを支援するポイントは以下の通りです。

3つの大前提

  1. お子さんが困っていることを話せる大人になること
  2. お子さんがこの場(学校など)にいたいと思うこと
  3. お子さんがそのためにできることをやろうという意思をもつこと

支援の流れ

“お子さん”が「この場にいたい」と思う

 

そのために“どうしたらいいか”を考える

 

“大人”からの「選択肢」の提案

 

“お子さん”が「選択」して試してみる

 

うまくいかない

 

“大人”に「相談」

 

“大人”が「提案」

 

“お子さん”が「選んで」試してみる

 

現状が少しずつ「改善」

 

繰り返す

この繰り返しをしているうちに、お子さんは

  • どんなことも自分でコントロールする方法がある
  • 一人ではないという感覚をもつ

 

 

学校は社会に出るまでの練習の場です。大人になるまでにいろいろ試して、対処方法を知りだんだん強くなっていくことを目指すのです。

 

HSCさんに伝えたいこと

この世は、自分でコントロールできます。

そして助けてくれる人がいるので一緒にいろいろ試してみましょう。

 

HSCの親御さんに伝えたいこと

お子さんが大人になったときに社会で適応する方法を自分で考えて実行できるようにすることが目的地です。

そのため子どものうちにいろいろな場で試行錯誤すると考えてください。

“学校の成績がどう”というところにとらわれると、親子ともに苦しくなります。

 

一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

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