立ち直る力~レジリエンスを鍛える

「いつまでくよくよしているのか」

「過去のことを引きずりすぎ」

 「いつまで落ち込んでいるのか!」

 

 親御さんが、傷ついたお子さんに対して『早く立ち直ってほしい』という願いを持たれることは間違ってはいません。

このことを考えるときにぴったりの概念に レジリエンスがあります。

 

『レジリエンス』は、

  • 逆境からはいあがる力(逆境力)
  • 回復力

などという意味です。

 このレジリエンスは、個人差はあってもだれもが持っている力です。

そして鍛えることできるものです。

レジリエンスが強いとどんなに過酷な状況であっても、どんなにダメージを受けても回復できる。

これは、311の震災をきっかけに広まった概念なのです。

 

 

レジリエンスを鍛えるにはどうしたらいいか?

 

レジリエンスを鍛えるには2つの視点があります。

  1. 楽観性
  2. 安心・安全な場 

 

 ①楽観性「きっとうまくいくだろうと心配しない性質」

 

 

子どもさんが傷つく体験をしたときに、その出来事を最終的にどうとらえることができるでしょうか?

 

 

はじめはショックを受けて、打ちひしがれるでしょう。

 しかし落ち着けば

  • まぁいいか

ととらえることができると前に進めるのです。

 

 

しかし

  • 許せない。
  • もうおしまいだ。
  • ありえない。
  • こんなこと筋が通らない

 

と考えると前に進むことはできない。

 その困難の中に居続けることになります。

 これは大きな分かれ道なのです。

 

 楽観性は、脳の『帯状回』という部分が関係しています。

脳は筋肉と同じで鍛えれば鍛えるほど強くなる

 つまり「まあいいか」と楽観的であることを選択すると、脳が鍛えられる。

楽観脳が出来上がっていくというわけです。

 

そのためには、まず親御さん自身が見本となり、お子さんの前で「まあいいか」と楽観性を示してください。

  • まぁいいか
  • それがどうした
  • なんとかなる
  • 完璧な人間はいない
  • きっとうまくいく
  • 勉強になった
  • そんなこともあるか
  • これも一つの経験

 

さてお子さんの前でどんどん楽観性を見せつけましょう。

楽観的に前向きに生きていくことを体で教えてあげてください。

 

きっとお子さんは最初は

「そんな気楽なこと言って!!」

「簡単なことではないのに!!!」

とか言われるかもしれません。

 

 

ですから教えるのではなく、見せる、触れてもらうという感じです。

そうしているうちにお子さんも少しずつでも楽観性を取り入れていくようになります。

そうすると脳が鍛えられる。

 

 

モデリングという教育方法になります。

多少時間はかかりますが、とても有効な手法です。

 

 

 ②安心・安全な場

 

 

さて「まあいいか」とお子さんは思うことができるようになるには、安心・安全な場が必要です。

  • 失敗したら見捨てられる
  • ダメな自分は嫌われる

 こんな状況ならお子さんは「まあいいか」といえるでしょうか

 

ありのままのあなたでいいといってくれる場がないなら、「まぁいいか」なんて思えるでしょうか?

 

 

 お子さんには

  • 自由にのびのび
  • 手足を伸ばし
  • 力を抜ける
  • 飾らなくてもいい
  • 頑張らなくてもいい

 そんな場が必要なのです。

これには親御さんの全面的な協力が必要です。

 

 

レジリエンスが強まると

 

『安心安全な場+楽観性』によって強化されたレジリエンスはどのようにお子さんの生活で使われるのか、見てみましょう。

  • お子さんが何か深刻なダメージを受ける
  • 「これは大変なことになった」
  • 家など(安心・安全な場)に逃げ込む。

  ↓ しばし体を休める

  • 「大変だと思ったけどなんとかなるかも。助けてくれる人もいるし。」
  • 「何かあったらまたここに逃げ込めばいいんだし。」
  • まぁいいか。

このような感じになると、お子さんはそろそろと外の世界に戻っていく。

レジリエンスの発動です。

 

 

 

余談ですが、私自身は悲観的な考えを採用しています。

これは保健室の先生を長くしていたことと関係していています。

学校では「まぁいいか。」なんてことは許されなかった。

でも正直に言うと苦しかった。

 

 

 

大人は、なかなか「まぁいいか。」と楽観性ばかりを選ぶことはできないのですが、楽観的でもいいという場面を増やしていくことはできます。

 

 

少しずつ脳を鍛えていきたい。

いつからでもチャレンジできます。


合わせてお読みください