お子さんの生理痛(月経困難症)

中学生、高校生では、7割から8割のお子さんが生理(月経)時に不快な症状を感じているというデータがあります。

私は保健室の先生を長くしていましたが、

「生理痛でしんどい」

というお子さんは、短時間であっても、とにかくベッドで休む様に勧めていました。

生理とうまく付き合ってほしいという思いからです。

生理というものは女性の生活の質に大きな影響を与えます。

 

 

 

さてもしお子さんが生理痛で日常生活に支障が出ているなら、医療機関にかかれることをお勧めします。

 

 例えば

  • 生理の時は、寝込むほどつらい
  • 生理の時以外にも腹痛がある
  • 生理の時以外にも出血がある
  • どんどんひどくなってきた
  • 痛み止めが効かなくなってきた

 

 できれば思春期外来をされている婦人科でご相談されてください。

生理痛を引き起こす病気では、いくつか早期に治療をした方がいい場合があるからです。

 

また婦人科といえば、内診がネックです。

大人でも嫌なものです。

思春期外来でしたらその所は心得ておられます。

一般的な診察ならお腹の上からのエコーで対応してくださると思います。

ただ確認はしてください。

 

 

診察の結果、何かしらの異常や病気が見つかったり、ピルなどといった医療が必要ならお医者さんと相談され対応されてください。

 

 

もし

  • 子宮や卵巣の働きには異常がない
  • 病気もない

となりましたら生理とうまく付き合っていくという方向性になります。

 

 

◆生理とうまく付き合っていくということ

子どもさんの体は、今大きな変化をしています。

今までは、ご両親から命を授かり、この世に生まれ、そして大切に育まれてきました。

 

 

これからはお子さんが”命を生み、育てる”側になります。

その為に今、お子さんの体は、大きな変化をしているのです。

 

 

激動の変化。

いわゆる第二次性徴です。

 

 

今までお子さんのお腹の奥で静かに眠っていた子宮と卵巣。

ホルモンの合図で動き出します。

 

 

生理痛がひどい方には苦しい生理期間かもしれません。

しかしこれは”命を生み、育てる”ことができるようになるために必要なことです。

 

できるだけ優しい気持ちでゆったりと生理と向き合ってほしいのです。

 

 

◆優しい気持ちで生理に向き合うことのもう一つの意味

生理におけるホルモンの調整は、脳の視床下部というところで行われます。

この重要な働きをしている視床下部は、たった4gの小さな器官

そしてすぐ近くには感情に関係する扁桃体があります。

 

 

ストレスなどで激しい感情が起こると扁桃体が反応する。

するとそれは隣にある視床下部にも伝わり、ホルモンの調節にも影響が出る。

これにより生理痛がひどくなることがあります。

ストレスと生理痛は密接な関係があるのです。

 

 

優しい気持ちでゆったりと過ごすことは、生理痛を軽減することとつながっているのです。

 

 

“優しい気持ちでゆったりと“生理とうまくつきあうために

 

①お子さんはストレスを抱えていないでしょうか。

ストレスによって生理痛がひどくなっているということはありませんか?

ストレスを誰かに聞いてもらうだけでも、ホッとできることもあります。

ストレスとの付き合いについてお子さんと話してみませんか

 

 

②安心して休めるような体制づくり

生理痛がひどい時は休める体制を整えましょう。

  • 月経困難症という診断書で学校側が免除してくれることはあるか
  • オンライン授業はどれぐらい可能か
  • 学校でも体調が悪い時は、気兼ねなく休める場所を確保しましょう

③お子さんに合った対処療法を見つけましょう。

  • 鎮痛剤は、痛くなる前に、飲む方がいい場合があります。また生理痛や症状に特化した薬があります。お医者さんや薬剤師さんに指示を受けましょう。
  • 血液の巡りをよくすることは、生理痛の軽減に大変効果があります。お風呂、靴下、下着、カイロ、ひざ掛け、腹巻などお子さんが好むものを生活に取り入れてあげてください。お気に入りの方法をすることは、精神的にも良い効果があります。
  • 子宮の位置を調整したり血の巡りをよくする体操もお子さんが気に入れば!
  • 鍼やお灸、漢方など東洋医学の領域も探ってみてください。お子さんの中では鍼が「大好き、気持ちがいい」と言う方もいます、また漢方の先生のところで野草のお茶を飲むと「落ち着く」など言われるお子さんもいます。

 

“生理痛を抑える”ということだけに焦点を合わせると、大切なことを見過ごしてしまうかもしれません。

これは”命を生み、育てる”ために大切な準備と考えていただきたいのです。

 

 


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