「新型コロナ感染後に園や学校に行きたがらない」というケースがあります。
私は公立小学校で28年間、養護教諭(保健室の先生)をしてきました。
感染症後の子どもたちの体調変化を多く見てきた経験から、新型コロナ後遺症と不登校の関係、親御さんができることをお伝えします。
新型コロナ後遺症とは
新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にかかった後、ほとんどの方は時間経過とともに症状が改善します。
いまだ不明な点が多いですが、一部の方で長引く症状(罹患後症状,いわゆる後遺症)があることがわかってきました。
厚生労働省のHPによりますと:
新型コロナウイルスに罹患した後に、感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般をさしています。
なぜ診断が大切なのか
感染症にかかれば当然体力も落ちますので、しばらくは様子を見るしかありません。
しかし経過が長引くようでしたら、新型コロナ後遺症であるかどうかを専門家の意見を聞かれて診断を受けられる方がいいと考えます。
このまま欠席を続けると不登校という枠組みに入ります。
私は不登校を決して悪いものとして考えません。
しかし「後遺症」であれば、対処が違う。
うやむやにしないほうがいいのです。
お子さんから聞き取る前に:後遺症の症状を知る
新型コロナ後遺症の主な症状
詳しくは厚生労働省のHP「新型コロナ罹患後症状(いわゆる後遺症)について」をご覧ください。
体の症状:
- 疲労感・倦怠感
- 関節痛、筋肉痛
- 咳、喀痰
- 息切れ
- 胸痛
- 脱毛
- 動悸
- 下痢、腹痛
心・脳の症状:
- 記憶障害
- 集中力低下
- 頭痛
- 抑うつ
- 睡眠障害
感覚の症状:
- 嗅覚障害
- 味覚障害
その他:
- 筋力低下
どれも不登校や行きしぶりの原因になりうる症状です。
特に太字の症状は、新型コロナ感染症と直接結び付きにくいので注意が必要です。
症状の特徴
また症状は:
- コロナの感染中から続いていることもある
- コロナが治癒後、新たに出現することもある
- 症状は変化します
- 時には消失することもある
WHO(世界保健機関)は、罹患後症状について:
「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2カ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの。通常は発症から3カ月経った時点にもみられる。」
と定義しています。
お子さんから聞き取りをしましょう
新型コロナ後遺症については、個人差が大きく、まだ不明な点も多くあります。
今は、お子さんの体や心の様子がすべてです。
お子さんの言うことを疑わず、そのまま聞いてあげてください。
聞き取りのポイント
お子さんは、体調を言葉にするのがまだうまくできないことがあります。
まして記憶障害、集中力低下、抑うつなど、心や脳、筋肉などの症状は表現するのは難しいと思います。
また特に小さいお子さんは、倦怠感・疲労感という感覚もわかりにくいようです。
大人の方で新型コロナ後遺症の症状を頭に置いて、お子さんのわかる言葉で聞いてあげてください。
お子さんの不安に寄り添う
お子さんは不安でいっぱいです。
世界中の大人がコロナを恐れる様子を子どもに見せつけたからです。
不安ごと、とにかくすべて聞き取ってあげてください。
医療機関に相談しましょう
もし新型コロナ後遺症の症状がある程度当てはまるようでしたら、かかりつけ医または専門医にご相談ください。
厚生労働省のHPに病院の情報があります:
各都道府県における罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関を掲載しているWEBページ一覧
またすぐに新型コロナ後遺症ではないと判断せずに、経過を見ていただきたいと願います。
新型コロナ後遺症と診断されたら
医療機関の指示に従う
診断がついた、または「疑いがある」「経過を見る」となったら、医療機関の指示があるでしょう。
話し合いの上、治療などを進めてください。
学校・園との相談
もし体調次第で園・学校に行ってもいいとなれば、園・学校と相談してください。
できる限り子どもさんの体調に配慮してもらいましょう。
配慮の例:
- 出席停止扱いや遅刻、早退について
- 体育、授業について免除や軽減
- オンライン授業の許可
- 体調不良時に保健室などでの休養
なぜ後遺症として扱うべきか
私はコロナの感染に少しでも関連があるなら、あいまいに不登校という枠組みではなく、きちんとコロナ後遺症という医療の枠組みで対応した方がいいと考えます。
不登校という状態は、どうしてもお子さんの不安が大きく自己肯定感を下げやすい。
コロナ後遺症として扱って、余裕をもって園・学校に戻しましょう。
その方が長い目で見て子どもさんにとって、メリットが大きいです。
コロナ後遺症ではない場合
病院で診察を受け、コロナ後遺症ではないと診断されたり、親御さんから見て明らかに違う場合は、以下のように整理できます:
- 新型コロナ感染症の療養で、生活リズムが崩れてしまった
- 新型コロナ感染症で学校・園を休んだため、集団に入りにくくなった
- 新型コロナ感染症で学校・園を休んだため、勉強や活動がわからなくなった
- 新型コロナ感染症で休んだことをきっかけに学校・園に行くことに疑問を持った、又はもともと持っていた
1. 生活リズムが崩れてしまった場合
症状:
- コロナ感染症はすっかり良くなったけど朝起きられなくなった
- 体力がなくなってしまった
- 食欲が減ってしまった
特に小さいお子さんほどそのようなことになりやすいです。
このケースでは、乱れてしまった生活を徐々に戻すしかありません。
戻し方のポイント
①朝起こす時間を整える
15分から30分ずつ、1から3日かけて早めていきます。
今、10時に起きているのを7時にしたいなら、いきなり7時に起こさないで、まずは9時30分にする。
それを数日続けて、お子さんの様子を見ながら早めていく。
②午前中にワクワクすることを設定
お子さんがワクワクするようなことを午前中に設定。
そして太陽の光にしっかり浴びる。
その後、お腹が減って昼食!
お子さんの様子を見ながら①②を進めてください。①②が整えばあとは自然に整います。
コロナで体力が減っていることも考えられます。ジワリと進めましょう。
2. 集団に入りにくくなった場合
お子さんの年齢が進むと子どもさんの集団は小さいグループに分かれます。
そのグループが構成されるタイミングで欠席しているとうまくグループに入れないということはよくあることです。
しかし転入生などを受け入れるときは、担任は、適切なお子さんとうまく交流が図れるような仕掛けを作り対応しています。
先生にご相談されると何かいい案を出してくださるでしょう。早めに相談してください。
3. 勉強や活動がわからなくなった場合
休みが続くと当然、勉強や活動についていけなくなることはあるでしょう。
仕方がないことです。
学校や大人が今の状況と対応策を教えてあげてください。
例えば:
- 「この内容は今はそのまま置いておいて余裕のある時に見直しましょう。来週から次の単元に入るからそこからやろうか」
- 「この部分はきちんと理解しておかないと後から困るから今日、放課後、補習をします。」
- 「残したところは、冬休みに〇〇に教えてもらうようにお願いしたよ。」
見通しが立つとお子さんは、気が楽になります。
今は何をどうすればいいかがわかるのです。
4. 学校・園に行くことに疑問を持った場合
令和6年度の不登校の小中学生のお子さんは、35万人でした。
この10年、不登校は連続で増えています。そして令和3年からの増え方がとても大きいです。
全国で、きっといろいろな思いを持っているお子さんがいる。
じっくり腰を据え、覚悟を決めてお子さんの話を聞いていただきたいのです。
お子さんも、コロナを経験して何か感じていることがあるかもしれません。
じっくりとお子さんの気持ちを聞いてあげてください。
まとめ
新型コロナ後遺症と不登校について、大切なポイントをお伝えしました。
- まずは新型コロナ後遺症かどうかを専門家の意見を聞き、判断する
- お子さんの症状をよく聞き取る
- 診断があいまいだとお子さんに不本意な結果になることがある
- 後遺症でない場合は、原因を整理して対応する
- お子さんの気持ちをじっくり聞く
お子さんのコロナ後の不調や不登校で悩んでいる親御さん、一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。
|
一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。 |
