不登校のお子さんのいじめ体験。
お子さんは深い傷を負っているのでしょう。
私は公立小学校で28年間、養護教諭(保健室の先生)をしてきました。
保健室で、いじめを受けて学校に行けなくなった子どもたちを見てきました。
その経験から、いじめを受けたお子さんへの親の対応と心のケアについてお伝えします。
いじめによる不登校は当然の結果
不登校の原因がはっきりしないことも多いですが、はっきりと原因がわかることもあります。
その一つにいじめがあります。
いじめがあったので不登校になる。ごくごく当然の結果です。
でも逆は成立しません。
いじめがなくなったので以前のように登校する、とはならないのです。
いじめの解決とは
文部科学省のHPによると、いじめの解決とは:
- いじめの行為が止んでいること(少なくとも3か月間)
- 被害を受けた子どもが心身の苦痛を感じていないこと
(1)についてはわかりやすいかもしれません。
しかし(2)については簡単なことではありません。
- いじめ加害者がいくら謝っても
- いじめがなくなったとしても
傷ついた心はすぐには修復しません。
安全なはずの学校が安全ではなかった。
そして「ありのままのあなたが素晴らしい」と親も先生も言ってたけど、「ぼく・わたしは、素晴らしくなかったからいじめられた」とお子さんは思ってしまった。
そんな状況で学校などいけるはずがありません。
前に進むには
ゆっくり、じっくり、お子さんが自分でもう一度「安心感」と「自尊感情」を積み上げていくしかありません。
時間がかかるかもしれません。
お子さんの話をそのまま聞き取る
とにかく話を聞ききる
お子さんの話を聞きとります。
その時、親御さんには様々な気持ちが浮かんでくるかもしれません。
- かわいそう
- ひどい
- 怒り
- 恥ずかしい
- 許せない
または:
- 何か理由があるのかも
- うちの子が先に何かしたかも
- なんで言い返さないのか
- なんでやり返さないのか
- こんなに弱くてどうする
あるいは:
- 嘘かもしれない
- 大袈裟に言ってるかもしれない
- 休みたいだけかも
親御さんの気持ちは抑えて、とにかく話を聞ききってください。
話を遮ったり、否定したり、親御さんの動揺が伝わると:
- 話のニュアンスが変わったり
- 量も質も少ない目の報告(逆もあり)
になったりします。
記録を残す
いじめは、証拠となるものがなく、証言だけが頼りになることが多い。
しかし証言は、色々な状況により変わることがあります。
例えば、お子さんが自分の身に起こったことを話していて、親御さんがすごく動揺したら、親御さんを悲しませたくなくて、お子さんは話をマイルドなものに変えるかもしれません。
またクラスメイトが証言してくれていても、「その話もう一回聞かせて」と先生が深刻そうに別室に呼び出したら、そのクラスメイトにすればすごい圧力です。
証言が変わっても仕方ないと思います。
人間の記憶というのは、どんなに信頼できる人でも、偉い人でも、時間が経って、色んな不利な状況が予想されれば曖昧になり、そのうちに偽の記憶が作られることがあります。
それが隠蔽につながっていく。
とにかく、出来るだけ早く、圧力がかかる前に全て聞き取ります。
そしてお子さんに確認とりながら、記録を残します。
子どもさんがいじめを受けている。親として動揺されることは当然です。
しかし子どもを守るために心を整えて臨んでください。
セカンドハラスメントには注意を
セカンドハラスメントとは簡単に言えば2次被害。
ハラスメントを受けたことを周囲に訴えたことによって起こるハラスメント。
代表的なものは「いじめられる側にも問題があった」といって逆に叱られたり、諭されたり。
またはそのことでさらにいじめがひどくなったり、バッシングを受けることになったり。
親や先生といった本来味方のはずの大人が関わるセカンドハラスメントは、子どもを大きく傷つけ、絶望させます。
後々まで心に残ってしまいます。
二度と相談しようと心を開かなくなるかもしれません。
心してお子さんに向き合ってください。
いじめをうやむやにしない
いじめられた側にすれば、もう二度と加害者に会いたくないかもしれません。
もうその話は聞きたくないかもしれません。
でも長期的に考えるなら、加害者による正式な謝罪や学校による報告などはきちんと受けておかれることがいいと言えます。
PTG(心的外傷後成長)という視点
PTGとは、非常につらく苦しい出来事をきっかけとした人間としてのこころの成長を指します。
傷つきから人は成長することができる(日本女子大学 福島円さん)ということです。
しかしここで覚えておかなくてはいけないのは、「いじめられた体験が成長を促す」のではありません。
子どもさんが「いじめをどうとらえたか」が大切なのです。
- 子どもさんの考え方に働きかけることで
- 「いじめという理不尽な体験による傷つき」を
- 「心の成長」に変えることができる
長期的な視点にはなりますが、私たち大人は、いじめられたお子さんに何をすればいいか考える大きな道すじになります。
元養護教諭として伝えたいこと
28年間、保健室でいじめを受けた子どもたちを見てきました。
いじめは決して許されません。
大人がいじめを見過ごすと、子どもたちは「いじめが悪いと思わない」大人に育ってしまいます。
学校や社会全体で、いじめは間違っていることを子どもたちに示さなければなりません。
そして何より、いじめを受けたお子さんとご家族を全力でサポートすることが必要です。
まとめ
いじめによる不登校について:
- いじめによる不登校は当然の結果
- お子さんの話をそのまま聞き取る
- 記録を残す
- セカンドハラスメントに注意
- うやむやにしない
- PTG(心的外傷後成長)という視点
お子さんが自分で「安心感」と「自尊感情」を積み上げるまで、ゆっくり、じっくり見守りましょう。
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